Ogreとはオープンソースのグラフィックミドルウェアの事です。因みにライセンスはLGPLに準拠しています。
サンプルを触るには、ライブラリがビルドされたものが提供されており、簡単に実行して動かせます。
しかし、ライブラリ自体もオブジェクト志向で作られている為、かなり抽象化されています。その為、簡単に動かしたりするには良いのですが、表層を弄るような感じで内部の動きを理解するにはソースからのビルドや内部の解析が不可欠です。
そこで、別途提供されているソースパッケージからライブラリ及びサンプルをビルドする環境を先ずは作ってみようと思います。もちろん、その先にカスタマイズやチューニングといった目標があります。
Ogreの公式wikiにSDKをビルドする記事があります。こちらを見つつ整えていこうと思います。前提として、コンパイル環境はVisualStudioを前提で行きます。バージョンは2008 Proを使用しています。
では、始めていきましょう。
まずは、SDKのビルドに必要となる、依存するライブラリを開発環境に入れていきます。
1.DirectX SDKのインストール
ま、Windowsでグラフィックを扱う上で、欠かせないものですので、あえて言葉はいらないと思います。OgreからはRenderプラットフォームとして、DirectX9やDirectX10、DirectX11の3種がRendererとして使えます。この他に、OpenGLもサポートしていますが、ここでは取り扱いません。
こちらについては、Microsoftのサイトより比較的新しいものを入手して、インストールしておきます。
2.Boostのインストール
C++のライブラリである、Boostをインストールします。
boostproで配っている、win32向けのインストーラーを用いるのが簡単みたいです。
インストールが完了したら、以下の3つの環境変数を登録しておきましょう。バージョンにより、ディレクトリ名は変わるので、適宜対応します。インストールしたのはここでは1.44なので、以下のようになります。
- BOOST_ROOT (C:\Program Files\boost\boost_1_44)
- BOOST_INCLUDEDIR (C:\Program Files\boost\boost_1_44)
- BOOST_LIBRARYDIR (C:\Program Files\boost\boost_1_44\lib)
3.Dependenciesのインストール
依存する、その他のライブラリやツールなどをまとめたものが、こちらからダウンロードできます。含まれているものは以下のようなものです。
- Cg
- FreeImage
- freetype
- ois
- zlib
- zziplib
これらは別途、個別に入手してインストールすることも可能ですが、このパッケージを利用することで、ライブラリ生成まで同一のソリューションで行うことが出来ます。
任意のディレクトリに展開したら、以下のように、環境変数を定義します。これは後に実行する、CMakeから参照するのに、使用されます。
- OGRE_DEPENDENCIES_DIR C:\OgreDependencies\Dependencies\src
次に、これもまたCMakeを実行する前に一旦Debug/Releaseともにビルドしておきます。これをしておかないと、環境変数を設定しても、CMakeを実行した際に、ライブラリが見つからないといったエラーをだして、処理を進められないので、やっておいてください。
以上が前提となるライブラリの準備となります。
次は、マルチプラットフォーム対応のMakeツールである、CMakeの設定について書こうと思います。